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-まつおしゅぞう-
高知市より北東、物部(ものべ)川流域は、香長(かちょう)平野の北に位置し、弥生時代の遺跡や大鍾乳洞の龍河洞などの見所も多い香美市土佐山田町。
また、土佐藩政、野中兼山(のなかけんざん・1615〜1663)の新田開拓、治水開墾などの偉業から生まれた町で、街道筋に井戸を掘らせたことにより移住者が増え、今日の活気ある町並が形成されてきた。
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この町には明治6年より百二十余年酒造りに励んできた「松翁(まつおきな)」醸造元松尾酒造がある。地方の酒造家は、昔からその町の名家であることが多いが、松尾家も江戸時代に現在地に居を構え、米屋を営む大地主であった。松尾といえば、酒の神様といわれる京都の松尾神社を思い起こさせるが、この松尾酒造の松尾家はこの神社との関係が深く、京から九州、そして四国へと移住してきた一族といわれる。
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酒造りは明治6年松尾庄吉により創業され、現在の社長で6代目を継承する。創業の端緒を開いたのは、屋敷内に掘られた井戸で、こんなエピソードがある。庄吉は長男の徳太郎(初代造酒)が嫁を迎え入れるようになったが、「井戸の無い家では娘が難儀をするので嫁にはやれぬ」といわれ、さっそく井戸を掘って無事嫁を迎え入れたという。松尾酒造の子孫存続を支えたこの井戸は、現在でも醸造用水として使用されている。
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醸造の神松尾神社の守護のもと、長寿延命の酒として「松翁」命名 |
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